風力発電建設のメリットはあるか?

2012.02月号

説明を聴く住民
武田博士の説明を聴く住民

1月29日度会町・南中村公民館で風力発電の及ぼす健康被害についての勉強会が開かれた。
主催したのは会社員、教師、自営業者など地元の住民でつくる「度会町の自然エネルーギーを考える会」で、講師には青山高原の風車近く、伊賀市に住む武田恵世氏(医学博士、伊賀市環境保全市民会議)を招いて2時間近く日本全国の事例を聞いた。地元民を中心に60数名の参加者があったが、地元町会議員の顔はなかった。

武田氏からは、示される発電量は12m毎秒程度の風が吹いたときの最大出力での試算であり実際に吹く3~4m毎秒の風では定格の1/30位しか発電できないこと、発電機の寿命は10数年で撤去するには1基あたり8,000万円の費用がかかること等を聞いた。
当初は導入賛同者であった氏が現在反対の立場に至った理由として、
医者の立場から風車近辺で起こる精神的な健康被害について事例をあげて説明された。また、風力発電を効率よく使うには、風車と風車の間隔が現在示されているような間隔では効率が悪くまた、以前に近辺で風力調査をした他の業者は、風の条件が悪く撤退したのになぜまた計画を持ち込むのかが理解しにくいという話も出た。

参加者からはアメリカに20年近く暮らし「清流の流れる宮川」に憧れて近くに住み始めたという参加者からは広大な国で砂漠のなかに建設するのならともかく緑の山を切り裂いて建設すべきものではないとの発言があった。
「日本一の清流・宮川」を支えるきれいな一之瀬川が工事によって汚されてはこの地の魅力が無くなる。また風車の羽根に断続的に太陽光が遮られた光を浴びる「ストロボ効果」の精神面への影響は大きいとも話した。
風力発電を導入するには被害の懸念されるこんな大型のものでなくもっと日本の自然環境にマッチしたものが開発されるまで待つべきだとの意見も述べた。

参加者の多くは昨年暮れ突然に話を聞いてびっくりし、単純にクリーンなエネルギーだと感じていたがこんなに効率が悪くてメリットなく身体には低周波ノイズによる精神的な負荷が多い事など健康被害も出るとは思ってもいなかったと話している。

建設業者の安藤建設は昨年11月5に南中村の区長、役員に説明し同月12日に区民に説明したと言うが、区会では住民のはっきりした賛否を取らぬままに「多くの人が賛成した」と話を進めている。また、低周波による被害はないと言い切っている。

「隣接の大紀町、大台町も住民の意向を聞いてはっきりと建設を拒否している中、
なぜ度会町だけが上から一方的に話を進められるのかがわからない」
「人を惑わせる話を持ち込まないで欲しい、何も無くてもいい、静かな町であって欲しい」こんな地元の声の中、5年前に企業誘致をかかげて登場した町長だが、住民の気持ちを汲んだ施政が望まれる。

GNP国民総生産なんかでなく、
GNH (Gross National Happiness) 「国民総幸福感」をものさしに生き方を考えてみようと言う時ではないか。
企業誘致だけを町のためと考えていないか、目先の「お金」でなく、より文化的、精神的に住みよい町を考えてはどうか。
ましてや、健康被害など持ち込まれる様な物であったなら決して許さるべきでない。
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青山高原の風車を持つ津市は、売却先を探しているが買い手はいない
安藤建設は、建設だけで運営は行なわない。運営会社も電力の売電先も今何も決まっていない。運用の後10数年後、撤去する際の費用負担はいっさい考えていない
安藤建設は2月以降5月までに次の説明会を開くと言っている。
まだ確定していない電力の買い取り価格を都合よく見積もり採算合うとの計画で何も確かな見通しのないままに、先に住民の「了承」だけを取ろうとしている。

南中村だけの問題でなく、獅子が岳の計画にも度会町全体が影響を受ける。
町内への建設で誰が得するのか?誰が影響被害を受けることになるのか?